タリアセン・イースト ライト自宅の居間
梅雨寒の頃の落ち着いた感じが好き。子供の頃からそうだったわけではない。いつからか思い出してみると思い当たることがある。30代の前半、タリアセン(F.LL.Wrightの設計事務所兼建築学校)に留学していた。タリアセンはアリゾナの荒野とウィスコンシンの緑豊かな丘の2カ所にあり、秋から冬はアリゾナ、春から夏はウィスコンシンで活動していた。移動距離3000km北海道から沖縄くらい。アリゾナからウィスコンシンまで、400ccのオートバイで移動した。10日かかって到着したときの感動は忘れられない。5月の雨の日だった。東洋美術に囲まれたタリアセンで過ごした5月の雨の日。生涯で最も記憶に残る日々だ。
梅雨寒のころ、雨に濡れる緑を見ていると、あのころを思い出す。心が落ち着き静かなエネルギーがわいてくる。