タリアセン・ウエストはライトと弟子たちによる自力建設である。現在では様子がずいぶん違っているようだが、私が在籍していた頃は、入学したての学生は、まず工事に参加させられた。敷地内のどこかでいつも小規模な工事が行われていて、コンクリート工事や大工工事をしたりする。ライトの考えでは、建築の設計に携わる者は、材料の特性を十分つかんでおくことが需要で、自ら扱う体験が役に立つと考えていたからだ。
タリアセン・ウエストの建物で印象的なものの一つが、石が埋め込まれた荒々しいコンクリート。仮枠に石を番線で止め、固練りコンクリートを詰め込む。コンクリートの流動性が低いので石の表面にコンクリートが回らず、きれいな石の表面が表せる。